時は命なり

町なかに、名も知られない寺がある

住居兼寺のような佇まいだ

寺の前を通る道に沿って、五十センチくらいの木箱のようなものが、石の土台の上にある

その箱の正面の隙間がある柵から少し離れて中を覗くと、暗い空間が広がる

さらに一歩、前に近づいて屈んでじっと覗くと、奥に石彫の仏様が現れる

よくよく見れば、細い腕を広げられた千手観世音菩薩だ

この道を通り過ぎる人らは、この中に千手観世音菩薩が祀られているのを知らないだろう

まさに、仏教の教えとの出逢い、邂逅だ

僕はこの寺の前を通る度に、立ち停まり、手を合わせている

南無観世音大菩薩

カテゴリ:日常・住まい