「コロナ」という名前は今はもうウイルスとして誰にも知られるようになったけれども、感染が始まった頃「新型コロナ」という名前は私にとっては昔のトヨタの中型車を思い出させるものだった。
住宅会社に入社して数年経った頃、営業用に使っていたクリーム色の新型コロナのボディにはデカデカと商品名が横書きしてあった。
この車については忘れられない出来事がある。

ある日、大阪で大規模に開発されていた千里ニュータウンという住宅団地の現場に行った帰りのこと、団地の出口付近を走っていると親娘と思われる二人のご婦人が私の車に向かって手を上げた。
何だろうと思って車を止めると、後ろ