「マリエール」という香水主婦の日々



  午後四時頃 とても蒸し暑く感じる


 室咲やパリの香水栓かたく  鏡山不由

 小さき重さの巴里の香水うけにけり  及川貞 夕焼

 歩道にて通りすがりの香の仄か アロマ

 香水のその人なればふさはしく  高浜年尾

 香水の小店原宿シャンゼリゼ  石川星水女

 香水の正札瓶を透きとほり  星野立子

 香水もネクタイも荷を重くせず  稲垣きくの 黄 瀬

 機上にて買う香水「ナイルの庭」 アロマ

 香水や封切るときの空の青  藺草慶子

 香水の香のそこはかとなき嘆き  久保田万太郎 流寓抄

 「マリエール」という香水主婦の日々  ア