「東山魁夷の『馬車よ、ゆっくり走れ』と暗いドイツの思い出」

旧懐の情とは不思議なもので若い頃留学したドイツの暗い寒い冬のことが人生の折々に思い出されます。そしてドイツの中世の「遍歴徒弟の文化」を想像します。
留学は遍歴しながら学問を身につける旅なのです。ドイツ語でシュティデーエン・ライゼと言いますが、その言葉はロマンと修行の厳しさ、そしてドイツの暗い冬の寒さを連想させます。

ドイツは独特な文化を持っています。伝統を大事にし静かな思考を大切にします。街を歩くドイツ人は決してイタリア人のように陽気でありません。フランス人のようにお洒落をしません。何時も真面目で堅い雰囲気を持っています。
50年前に留学したドイツには