垓下の詩

前203年、70余回も連勝していた項羽も、ついに垓下で劉邦軍三十万に包囲されました。
夜半すぎ、城を囲む包囲軍から歌声が聞こえます（漢軍・韓信が急遽作った楚歌コ－ラス隊　全員漢の兵士）。それにだまされた項羽は、こんなにも楚人が劉邦側についているとは…と自分の敗北を悟りました。これが「四面楚歌」の故事です。

覚悟を決めたこの夜、彼は愛馬・騅と恋人・虞美人を傍に呼び、家臣たちと最後の宴を催しました。その席で、彼は虞美人への思いを詩に詠んでいます。
虞美人は、歌に滲んだ自身を伴えない項羽の無念を感じ取り、即座に剣舞を舞い詩を何度も復唱して己の意志