人の真価

私の父は、大工の棟梁で工務店を営んでいた。

ある日、新聞に求人広告を出して、従業員を3人雇った。
大工見習いをする若い男の子たちだった。

父は話が下手なので、筋道を丁寧に説明することなんてできなかった。
見て覚えろ的な感じで、後ろ姿で教えていた。
でも、できない弟子がいると、ゲンコツをしていた。

家では、私に怒ったことなんてない父なのに、怖いなと思った。

いつも長袖シャツを着て、頭には手ぬぐいを被っていた。
現場が近い時は、お昼ご飯は、家に帰ってきて食べていた。
かっこむように急いで食べて、しばらく横になってから
サッと起きて、午後の仕事に向かっ