この齢日々楽しくも慈しむ



 ひなたぼこ心のよはひ若けれど  西島麥南

 冬たんぽぽゆつくりよはひかさねたし  亀山歌子

 樅の木のよはひ涼しき武家屋敷  鷹羽狩行

 橙やよはひ明治をさかのぼり  栗生純夫 科野路

 この齢いつの間にか至れども アロマ

 わが齢支へし脚に寒灸  白石天留翁

 吾が齢ぶどう四五粒あればよし  川原絹子

 吾が齢まざと鏡に木の葉髪  菖蒲あや あ や

 伏流水ひたひた満ちるわが齢  長尾信子

 古稀という春風にをる齢かな  富安風生

 炉にかざす指の反りにも齢かな  八染藍子

 冬苺母亡きのちの齢かな  石田波郷

 明易くな