青い空、白い橋

 時間はタップリあった。仕事をリタイアした今は、時間を気にすることはなくなった。先を急ぐ旅ではない。ならば、そうだ青春18きっぷで行こうと決めた。格安きっぷ店で青春18きっぷ4日分を手に入れて、山陰地方一周の旅に出たのは8月の下旬だった。
 1日目、名古屋から下関まで乗り換え8回、12時間半をかけて鈍行列車の旅が始まる。
 忍耐を強いられる苦行の連続だった。座り心地の悪いシート、単調な列車の揺れ、同じような車窓の流れ、海の見える景色以外はどれもが私を退屈にさせた。
 一昔前なら、トンネルを越えると違った方言を聞けたりして、遠くへ来たことを実感できたものだ