着岸した桟橋にたたずみ、最後の乗客が下船する まで見届けたが、ついに彼女の姿を見つけることは できなかった。。。 ひとことお礼を言いたかったが もう二度と会えないかもしれない・・・

「みなさま、大変ご迷惑をおかけしましたが
揺れはほとんど収まりました

当船はあと30分ほどで函館港に入港の予定です
お手回り品、お忘れ物のないよう・・・・」

船内放送に安堵の乗客たちの顔があった

女性が言った

「よかったですね
私たち、無事に函館に着けますよ」

和彦はなぜか
涙がこみあげてきて
それをおさえることはできなかった・・・

船内放送の通り、船は

きっかり30分後
函館港の大桟橋に無事着岸した

今まであれほど荒れ狂っていた津軽海峡

それがまったくのウソであったかのように

神々しいまでの美しい青空が
難行苦行した1200名の乗客