秋刀魚焼くそのための細長い皿



 地酒よし秋刀魚の煙る店なれば  竹吉章太

  夕星の光りそめたる秋刀魚買ふ  和田 祥子

  夕暮の物音親し秋刀魚焼く  西村和子 夏帽子

 卓袱台と秋刀魚と低き電灯と  久野哲男

  受賞作家夕餉の秋刀魚焼いてをり  鈴木真砂女

 その昔七輪で焼く秋刀魚かな  アロマ

 旅の帰途夫待つ妻は秋刀魚買ふ  及川貞

 定食の皿はみ出して大秋刀魚  添野光子

 脂乗りるまるまる肥えた秋刀魚食ぶ  アロマ

 老いてゆくためにある火か秋刀魚焼く  小池万里子

 油敷き平たい鍋で焼く秋刀魚  アロマ

 黒潮のうねりて秋刀魚競る町に  青畝