新月爽やか夜の気配かな



 鮎の宿新月に上ぐ風呂煙り  宮武寒々 朱卓

 卯の花に新月滲み易きかな  飯島晴子

 粥炊くや新月すでに光りそむ  飯田蛇笏 山廬集

 山茶花の新月に浴む妹を待つ  宮武寒々 朱卓

 新月密やかに見る湯殿にて アロマ

 かく明るし新月にはや煙立て  安東次男 裏山

 秋冷の新月の那須今宵かな  及川貞 夕焼

 新月に温泉客の鶉焼くけむり  宮武寒々 朱卓

 新月のさすより岩魚つり惜しむ  飯田蛇笏 雪峡

 新月の山湖に育ちつつありし  田村おさむ

 新月や瀬をはなれゆく渓の音  岸秋渓子

 湯豆腐や新月落ちて我が燈ある  渡邊