冬菫 沐浴の吾子機嫌よく



 足跡をつけたくて出づ朝の雪  栗原公子

 冬すみれ咲き沿ふ浦の通学路  水田壽子

 日当りの堤のほぐれ冬菫  森清信子

 薬研彫の篆刻なりし冬すみれ  平橋昌子

 冬すみれ童話の扉ひらくごと  正木光子 いろり

 日溜りに色を深める冬すみれ  藤原睦 対岸

 山の日の仄かに甘し冬菫  池尻足穂

 よか旅の余韻いまだに冬菫  大谷茂

 日ざしごと両手に受けし冬菫  吉田順子

 冬菫オパール色の遊歩道  中島玉五郎

 日だまりに頬張るおむすび冬すみれ  木村美猫

 綿雲のゆつくり流れ冬すみれ  中野京子