2月の読書とコンサート    

リシャルド・カプチンスキ著・工藤幸雄訳『帝国 ロシア・辺境への旅』新潮社。P419。
 著者は1932年ベラルーシ生まれのポーランド人ジャーナリストで、この本の第Ⅰ部は1939年から67年までの、著者が≪帝国≫に身を置いた旧ソ連邦時代の報告。第Ⅱ部は1989年から91年の≪帝国≫が傾き、そして崩壊に至る歳月。第Ⅲ部はそれ以降の、旅行と会話と読書の端々から生まれた考察、所感、覚えの集積という構成になっている。
 ということで本書はロシア史でもなく、旧ソ連邦の歴史でもない。ソ連国家における共産主義の誕生と没落の総まとめでもない。著者が時間と体力の許す限り、こ