連載:

「街の花」

早く桜の事を書きたいがこんな姿を見たら書かずにいられない。

私は娘に頼まれた買い物で外に出た。娘の住む街で桜を探したかったから喜んで引き受けたのだ。娘は私がかなりポンコツになって来ている事が分かって来たのだろう、口頭で伝えた後、スマホ様で調べたスーパーのチラシと品物をラインして来た。

「このティッシュ二つと刻みサラダ、チーズ」

娘に言われた物以外は一切買わずに店を出た。さすがに桜の木はなかったが、レンギョウの黄色もボケの赤もまだまだ健在だった。足元の雑草にも花が付いている。

日の当たらない路地の隙間なく並んだ家の玄関前に、幾つか鉢が並んでいる。1