連載:

「最後の桜」

公園が近づくと走り出した。娘がここまで来たら安心と、繋いだ手を離したのだ。
「最後の桜だね」

それから孫が見せた姿は
まるで絵から飛び出たようで、
口から出て来る言葉は詩のようで。

散る桜を捕まえようと
はしゃぎながら両手を差し出し走り回る
私も直ぐに加わったが一枚も捕まえられず
地面に敷いたピンクの絨毯から
5枚揃った花を拾い上げる
「パパに見せる」と孫も拾い出す

直ぐに飽き今度は花壇に向かって走る走る
私も追い掛ける
揚羽蝶が飛んでいる
紋白蝶もいる
まだ4月に入ったばかりだというのに

女の子が泣いている
小学生のお兄ちゃんとママがいる
娘は