東風吹かば

  数年前、近隣の家族が仕事の関係で転出して行ったが、しばらくして、その家に新しい家族が入居してきた。
  その人が、ブログを開設するというので手伝った。
  その家の庭にはつつじが咲いており、それを見て、「東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」という菅原道真の句を思い出していた。
  京都に残してきた梅を大宰府で思い出しているように、この花を前の持ち主が思い出しているだろうと、その歌を思い出していたと、その時は思った。
  しかし、その新しい家族は福島原発の近くから移転してきた人たちで、自分たちが福島に残してきた家や木々などを思い起