吉野山頂上近く草紅葉



 み吉野の花の間に星ひとつ  山田閏子

 花冷や吉野が吉野らしくなる  石川多歌司

 山茶花の散りつぐ日なり奥吉野  熊岡俊子

 朝月もおぼろに置きて吉野山  稲畑汀子

 葛切の老舗に偲ぶ吉野山  石田康明

 那智黒や吉野熊野は花曇  高橋将夫

 深吉野の月影揺らす夜振かな  和田華凛

 美吉野の闇を濃くせり山蛍  上辻蒼人

 湯気上げて吉野も奥の寒造  市村明代

 初花にみ吉野の時動き出す  稲畑廣太郎

 小店に葛湯頂く吉野かな アロマ

 川音に昏るる吉野の釣瓶鮨  大久保志遼

 夕闇を拒む吉野の著莪