仲秋の山懐の露天かな


 
 知らぬ間に二人となりぬ十三夜  中川二毫子

 飛石のごとき漁火十三夜  清水谷法明
  
 丹波より芋届きけり十三夜  阿部ひろし

 佃路地照らし出されて十三夜  宮みさを

 見なれたる英虞湾秋の色に満つ  山田をがたま

 秋色や森のカフェの堅き椅子  森山のりこ

 秋色の空と風ある屋上庭  新実貞子

 ほとばしる谷川の音秋の色  渡辺安酔

 秋色の絨毯となり大花野  鈴木セツ

 秋色の夕暮れ日差しあわあわと アロマ

 煉瓦倉庫雨にも秋の色ありぬ  原田しずえ

 吹く風のどこか確かに秋の色  狭川青史