鯉幟勢いよく風に乗る



 酢でしめる魚のまさをや端午の日  山野みどり

 三輪山の雲の涌きつぐ端午かな  今木偉郎
  
 胡麻を妙る音のたけなは端午の日  鷹羽狩行

 水軍の島に風ある端午かな  杉浦典子

 入母屋の茅美しき端午かな  立脇操
 
 六甲山に霧のかかれる端午かな  山田六甲

 端午の日野の風音に耳を貸し  大島みよし
 
 青々と雨脚揃ふ旧端午  柴田佐知子
 
 男の子生れし端午の凧揚ぐる  大西八洲雄

 雨粒の田の面にはしやぐ端午かな  布川直幸

 端午なり跡取りの名の大漁旗  市川玲子

 抱き上げて空無限なり初端午