麦秋やつくづく見上げ蒼穹よ



 麦秋を刻める驛の時計かな  山尾玉藻

 麦秋の視野の果なる夕日かな  遠藤勝亮

 麦秋の野は艶やか黄金なす  アロマ

 麦秋や子を負ひながら鰯売り  一茶

 晴れときどき麦秋の眠たさよ  林朋子

 麦秋や 的のごとくに日が一つ  鷹羽狩行

 麥秋を一直線に旅心  川端実

 麦秋やつくづく見上げ蒼穹よ  アロマ

 麦秋の続く限りの風の音  河野美奇

 麦秋や湯町の裏に小さき句碑  山田暢子

 タラップに麦秋の風彼方より  三村武子

 麦秋のころには会へると追伸に  吉田明

 麦秋の黄色指数百とせる  華明日香