連載:日々なんてことないこと

舞台『父と暮らせば』を観てきた

 井上ひさしが「聖書」と呼ぶ原爆被災者の手記をもとに書いた戯曲『父と暮らせば』の公演を観てきた。昔、宮沢りえと原田芳雄が演じた映画は見たが、初演は27年前、本家本元の★こまつ座の『父と暮らせば』は初めて。井上戯曲の中でも屈指の上演回数を誇る代表作の一つで井上は「おそらく私の一生は広島と長崎とを書き終えたときに終わるだろう」と記している。
  昨年、紫綬褒章を受章した演出家・鵜山仁が捧げる原爆投下から3年後の広島の父娘の物語。娘、福吉美津江を伊勢佳世さん、原爆で死んだ父竹造を山崎一さんが演じる。美津江は6人目。竹造は5人目。再演、再演できている作品でも演者