着岸した桟橋にたたずみ、最後の乗客が下船する まで見届けたが、ついに彼女の姿を見つけることは できなかった。。。 ひとことお礼を言いたかったが もう二度と会えないかもしれない・・・

さすがに女性もこわばった表情を見せたが
傾きが復元すると、また作業に精を出し始める
その表情を見て和彦ははっと覚醒する

神々しい顔でひたすら人命救助にあたる
その姿にーーー


格闘は2時間ほど続いたろうか・・・

揺れは少しずつ弱くなり

「みなさま、大変ご迷惑をおかけしましたが
揺れはほとんど収まりました

当船はあと30分ほどで函館港に入港の予定です
お手回り品、お忘れ物のないよう・・・・」

船内放送に安堵の乗客たちの顔があった

女性が言った

「よかったですね
私たち、無事に函館に着けますよ」

和彦はなぜか
涙がこみあげてきて
それをおさ