「夏富士や国の衰へまざまざと 清水宏晏」

先日の新聞の俳壇に長谷川櫂選で載っていた句です。
富士山は日本の象徴としてまず第一の存在でしょう。
雪を被っていない裸の夏富士は富士のイメージとしてはちょっと特殊です。
北斎の稲妻の走る夏富士の異様に迫力ある大傑作にしても
かなり特殊な富士の姿です。
今度の東京オリンピックの混乱によく表れているように、
衰退期に入ってしまった日本の現状を、雪を纏った優美な富士でなく、
剥き出しの夏富士で象徴して成功している句だと私も思います。

栄えばかり気にする自撮り浴衣の子

地に落ちて肩で息する黒揚羽

蟻の列燈台めざすやうに延び

ひだるさに耐え鬼百合が何故か好