日の名残り――執事を一生の仕事として

「日の名残り」 カズオ・イシグロ著

カズオ・イシグロは2017年にノーベル文学賞を受賞した、長崎出身の日系イギリス人である。
表題の「日の名残り」はイギリス最高の文学賞であるブッカー賞を受賞した作品だ。

主人公のスティーブンスはイギリスの大邸宅に勤める執事である。それもただの執事ではなく、品格ある執事の道を追及し続けている超優秀な執事なのだ。
主人公が勤める大邸宅は、ベルサイユ条約により混乱したドイツを救おうと、ヨーロッパ各国首脳が集まり、秘密裡に会議を開く場所で会った。
執事の仕事上、各国の有名人と顔を合わせ、話の内容などを見聞きしても一切関わらず