晩夏光真昼の風に煽られて



 茅葺のくらしのちらと夏座敷  吉田節子

 夕風の気配となりぬ夏座敷  すずき巴里

 朝粥の木匙の軽さ夏座敷  市ケ谷洋子

 灯を消して風を招きて夏座敷  服部珠子

 這ひ這ひの児に明け渡す夏座敷  和田友季子

 夏座敷あちこち読めて蕪村の書  石橋翠

 姉の絵の売れた話や夏座敷  松沢久子

 松風の香の戦ぎ来て夏座敷  アロマ

 二胡の音を聴きて微睡(まどろ)む夏座敷  大場フサ子

 丸見えの男体山や夏座敷  阿久津勝利
 
 竹林の掻きまぜし風夏座敷  北尾章郎

 雷鳴をともなひ局地的豪雨  佐津のぼる