１３年くらい前に亡くなった作曲家の遠藤実さん
は、｢高校三年生｣や｢北国の春｣などのヒット曲
を次々に生み出し、多くの日本人の心に
希望の灯をともしてきました。
彼の曲が人の心をとらえるのは、自分の暮らしが
その背景にあるからです。


遠藤さんは子どものころ生活が貧しくて、
中学校へも行けませんでした。
｢かあちゃん、学校に行かせてくれ｣
と何回も頼みましたが、父親と兄が病に
倒れた遠藤家にとって働き手は
彼しかいなかったのです。


｢実、ごめんね｣
と、母親が涙を見せまいと横に構えて言ったとき、
遠藤さんは、
｢ああ、二度と学校に行きたいなんて言