筆者:植朗子さんの文章
老女の言葉を聞いて、杏寿郎はハッとする。煉獄杏寿郎が「炎柱」ではなく、ただの1人の人間として、心が動いた瞬間だった。父に思いをはせた、素の「煉獄杏寿郎」の顔だった。
■杏寿郎の果たせぬ約束
自分の姿と父とを重ねた弁当屋の老女に、杏寿郎は「それはきっと俺の父でしょう」とほほ笑みながら言った。もう、いつもの「炎柱」の表情に戻っていた。そして、老女とその孫に約束した。
「あなた方のことは 父に必ず伝えます 喜ぶことでしょう ではお元気で また会いましょう」
結局、この約束は果たせぬままになる。しかし、父が救ったその命を、息子で