連載:妄想爺やの春夏秋冬5

中坪(中庭)のある町家のある街

木造の町家には、古の風景がある

簡素な木の間の部屋には、光が差すように、天井に窓があり、壁にある窓は広い

風もよく通る吹き抜けのような家屋だ

まさに、空間を愉しむかのような造りになっている

その見通しの良くもある部屋から、中庭を眺めることができる

庭には、苔が生え、平らな石が敷かれている

その石を数歩、歩けば隣の部屋に移ることができる

禅寺の庭を小さくしたような、簡素な設えになっている

もちろん、中庭から空を見上げることができる

それは、町家に視界を仕切られた、狭い空ではある

谷崎潤一郎に陰翳礼讃という本がある

昔ながらの日本の家屋