観智院から谷中霊園の方角へ進む。道幅が広場のように急に広がった場所の一角に多宝院がある。
山門と庫裡はモダンだが、本堂はオーソドックス。並んで谷中七福神の吉祥天堂。
帰ろうとすると、「立原道造の墓」の標。あっという間に高校生の昔に戻る。
「草に寝て」
言葉の幾つかは忘れていたが、調べは思い出せる・・・
戦争中に、こんなに静かで明るい詩が読めるなんて、と随分憧れたものだ。
六月の或る日曜日に
それは 花にへりどられた 高原の
林のなかの草地であつた 小鳥らの
たのしい唄をくりかへす 美しい声が
まどろんだ耳のそばに きこえてゐた
私たちは