御府内八十八箇所巡り、谷中 第49番宝塔山多宝院

観智院から谷中霊園の方角へ進む。道幅が広場のように急に広がった場所の一角に多宝院がある。

山門と庫裡はモダンだが、本堂はオーソドックス。並んで谷中七福神の吉祥天堂。

帰ろうとすると、「立原道造の墓」の標。あっという間に高校生の昔に戻る。

「草に寝て」

言葉の幾つかは忘れていたが、調べは思い出せる・・・
戦争中に、こんなに静かで明るい詩が読めるなんて、と随分憧れたものだ。


六月の或る日曜日に

それは 花にへりどられた 高原の
林のなかの草地であつた 小鳥らの
たのしい唄をくりかへす 美しい声が
まどろんだ耳のそばに きこえてゐた

私たちは