連載:ポタリング

唐木田探索ポタ

「多摩丘陵のあけぼの」というタイトルから古代地誌を想像していたら違った。昭和三十年代、多摩丘陵を都市通勤者のニュータウンに変貌させる原動力となった横山舜三氏が当時を振り返った記録で、臨場感あふれるやり取りが面白かった。

戦争から帰還した農家の青年達がこれからの生活を考えた時、「背中に頼る」農業をなんとかしないとと思ったほどの多摩丘陵。集落の裏山に入って背よりも高い藪の迷路を上り抜けると山合の谷に炭焼き小屋、そして段々の棚田にたどり着くといった動線は日本中どこでも見られた風景だろうけど、狭い坂道の農道にはリヤカーも通せなかったという。

青年たちは自力で