連載:三浦綾子読書会

不思議な糸に繋がれて 三浦綾子読書会での出来事 Ⅱ

年が明けると、日々は駆け足で過ぎ去る。
今日はもう22日である。大寒が明けると立春ではないか。
私は、例年のように紀貫之の古今集の中にある歌を寒中見舞状に入れた。

 袖ひじて結ぶびし水の凍れるを
   春だつ今朝の風や溶くらむ

(夏の日に)袖をぬらして手ですくって飲んだ川の水が、(冬の間は)凍っていたのを、立春の今日の風が吹き溶か  
 しているのだろうか。

見識ある皆さんに解釈は不要だろう。でも高校時代に教わったこの短歌が今も胸に残るのは、この巧みな季節の取り入れ方であった。寒中見舞いには欠かせない一首である。

そうして人の時は流れていく。でも