今回、大阪梅林を鑑賞したときに、梅の枝に架かった短冊が目立った。
短冊は、いずれも与謝野晶子の梅花集の歌を引用したものである。
短冊より次の句を紹介する。
梅の花雪を負ひたり月明のいみじきに過ぐかかる夜明けは
わが見ても梅清きかな一本に相思を寄する人たらねども
仮初に梅も留まる白波の如し入り江の風騒ぎつつ
友として60年を送りたる君と梅とをわれらことほぐ
梅咲けば蕪村思ほゆその人が唐の詩人を思ひしごとく
湖の洞爺の山の陽炎が梅を巻くなり屏風のやうに
梅咲きて都の塵と云うものも有りとしかたくなりにけるかも
暗きより暗き閨にぞ香の通ふ見え