さやけしや朝霧懸かる遊歩道



 糶声に人垣崩れ初さんま  近藤暁代

 いただきしカボスのためにさんま買ふ  菊地澄子

 新さんま素にして旬の夕餉かな  辻前冨美枝

  伝えきれぬ言葉を胸にさんま焼く  甲田夏湖

 スーパーに買う温か焼き秋刀魚 アロマ

 さんま焼くことも久しき暮しぶり  稲畑汀子

 さんまさんま宮古のさんま流石なり  赤座典子

 七輪に丸き金網初さんま  吉田幸恵

 学食の売切れ御免初さんま  中山惠子

 秋刀魚の刺身あの頃珍しく  アロマ

 跳ねさうな八頭身の初さんま  小松ひろし

 駅近く住みて目黒のさんまかな  古川夏