『黛家の兄弟』と『高瀬庄左衛門御留書』、そして私は「遅かりし由良之助」でした。

先月、小説『黛家の兄弟』(砂原浩太朗 著 講談社)を読んだ。
砂原浩太朗なる作家を初めて知ったし、初めて読む彼の著書となる。

架空の藩:神山藩が舞台で、藩の筆頭家老(黛清左衛門)を努める黛家の三兄弟と周囲の若き武士達の成長物語である。
物語の主人公は黛家の三男の新三郎17歳である。
剣術道場仲間との交流や淡い恋など青春の日々を送っていた新三郎だが、大目付の黒沢家に婿入りすることが決まった。
ところがある日、黛家の将来を揺るがす大事件が起きるのだが、その裏には筆頭家老の地位を狙う漆原内記の策略が蠢いていた。
権力者の横暴や理不尽さ、正義が権力者に潰される