鶯の囀り最初舌足らず



 出漁の灯を春潮へ流しゆく  石鍋みさ代

 春潮や没り日のせたる神の島  小林あつ子

 尾道水道春潮朝は煌めけり  田中芳夫

 春潮や太き櫓を漕ぐ能登の海士  吉田裕志

 春潮の満ち来る艀溜りにて  塩川雄三

 春潮や明石岩屋のタコフェリー  池崎るり子

 春潮を眺めて一人握り飯  アロマ

 春潮や午前七時の窓辺まで  金澤明子

 春潮に地震の昂り残る能登  藤浦昭代

 音たてて春潮すべる岩畳  内山けい子

 春潮のはこぶ流れ藻うすみどり  宮内とし子

 春潮のひたひたと安芸一の宮  野上杏

 春潮の隅田