筍と和布煮付けて醤油味



 筍の小さきものから買はれけり  稲畑廣太郎

 筍の届く京都の土付けて  林 照江

 筍はけだもの色の皮重ね  富田直治

 筍や雨粒ひとつふたつ百  藤田湘子

 筍を掘つてゆがいて昼に酒  森澄雄

 結局は今日も筍ごはん炊く  稲畑汀子

 野遊や筍早き嵯峨の寺  松根東洋城

 良寛の筍天を目指す刻  佐川広治

 黒土の匂ふ筍もらひけり  中里泰子

 筍の皮この頃や牛の喰ふ  松瀬青々

 筍の機嫌ななめに出でにけり  鷹羽狩行 十友

 筍と和布煮付けて醤油味  アロマ

 三本の大筍の一つ描く  高野素十

 ひとりひつそり竹の子