菖蒲の湯一本抜いて鉢巻に



  昼間暑いと思ったら 今は涼しく重ね着をするほど

  昼餉は鰈の剥き身の煮付け 春菊も入れて炊く


 菖蒲湯や窓に更けゆく風の音  松橋利雄

 子等のため菖蒲湯立てる午後三時  佑藤稲子

 旅装解き一日遅れの菖蒲風呂  ふなかわのりひと

 菖蒲湯に払ふ邪気なき夕べかな  高木邦雄

 菖蒲湯や十かぞへをる母の声  秋津令

 菖蒲湯に自然治癒力とりもどす  藤田美耶子

 菖蒲湯に憂さの解け行く夕べかな  高木邦雄

 菖蒲湯に日の高々とありにけり  中野あぐり 春燈

 菖蒲湯の香を撒き散らし孫走る  稲畑廣太郎