夕暮れの玻璃戸に茜美しく



 高野山より雲湧いて真夏かな  栗栖仙龍

 わつぱ煮に口焼き島の夏旺ん  伊藤京子

 酢は壜の形のままに盛夏過ぐ  糸大八

 暑熱に夜も寝苦し水無月末  アロマ

 釣瓶寿司盛夏の町を見つつ食ふ  阿波野青畝

 鳴門蜜柑青きに還り盛夏かな  高田蝶衣

 飛行基地も四囲も真夏の篠つく雨  横山白虹

 鄙ぶりの鯉濃すする盛夏なり  飯島晴子

 吾を乗せ盛夏の太平洋うねる  山口誓子

 夏至の夜の北の都の時計台  町田しげき

 夏至の日の新妻としてパリの旅  千原葉子

 夏至の雨山ほととぎす聴き暮らし  田村木国

 大阪のキタの朝の夏