白髪のキャバ嬢

「お父さん、あのねぇ………」と突然 いつもより甘く優しく、そして小さな声。
経験から、これはヤバイ事態だと確信して身構えた。

私は恐る恐る次の言葉を待つ。

「あのねぇ……キッチンの蛇口から水が漏れているみたい」と云う。
最初は私が雑に使って水を跳ね散らかし、その辺りをグチャグチャに汚したと疑っていたらしい。

多分心の中でボロクソに私を罵りながら濡れたところを拭いていたのだ。

でも私がウォークに出て不在の時でも濡れていることに気が付き、私への容疑は晴れ、その結果「お父さん、あのねぇ………」の甘い声に繋がったと云うことだ。

つまり私の財布を狙っての