連載:花万朶

二人の父  


実の父親は、56歳でこの世を去った。
心筋梗塞だった。
当時、京都に住んでいた私は父が具合が悪いらしいと母から聞いていた。元気に仕事をしていると母は言っていたが、、。

私は、錦市場で氷魚や鯉の煮たのやら、父の好きそうな物を買い揃えて、四条烏丸に勤務していた妹に事付けた。

それから2日後、朝8時過ぎ、父の仕事関係の人から、今、父が亡くなったと電話がきた。

初めに聞いたのは「お父さんが参らせてもらわはりましたわな」と言う事だった。
田舎の方言だったので、若い私には分からず、「父はどこへ行ったのですか」と何度も聞き直した。
電話の