第三の時間

ずいぶん昔、ある男性がこんなことを言った。
「男には仕事、家庭、この二つの他に第三の時間が必要なんだ」と。

第三の時間なら女の私にも必要だわ、と心の中で呟く。

その頃仕事を定時で上がり帰宅途中に最寄り駅から、あと少しで自宅という場所にお気に入りのバーがあった。
定時上がりだとお店の開店したばかりの時間でマスターはいても、店の空間を独り占めできるのもお気に入り、マスターが料理の腕が最高で、小腹を満たすつまみも良かったし、強いお酒を少量飲むのが好きな私は仮に酔っても安心して自宅に帰りつけるところもお気に入りだった。

私の流儀は二番目の客