連載:花万朶

雪の日の、ラ・カンパネラ   


NHKのあさイチを見ていたら、ピアニストの亀井星矢が出てきた。

彼が、ラ・カンパネラを弾いた。

じっと聞いていたら、不意に涙が溢れてきた。
遠い昔の事が走馬灯のように駆け巡る。

幼い頃の懐かしい風景がよぎる。

夏の日、沢山の蛍を蚊帳の中に放ってくれた父、兄弟姉妹みんなで叔母の田んぼでお昼ご飯を食べた事。

蓮華草の田んぼを村中の子どもが駆け回って叱られた事。

チャンバラごっこで作った木の枝の刀が私のだけ漆の木だった。その漆に負けて私は瞼が腫れ上がって開かず、数日薄闇の中で暮らした事。

河原で泳いでいたら、頭上