夢から覚めた夢

かれこれ40年以上前だったろうか。
映画「若い人」が桜田淳子主演でリメイクされたことがあった。
その時、当時70代だった原作者の石坂洋次郎が、NHKの朝の番組で映画の感想を聞かれ、
「良かったんじゃないの?」と応じていた。

その後、インタビュアーは続けて聞いた。
「もう小説はお書きにならないんですか?」
すると彼は
「そりゃあ、原稿料が100万円だって言ったら書くよ」と応えた。
テレビがなかった子供の頃、漫画家と作家は私にとって神様に近い存在だった。
彼らが描いてみせる物語は絶対的な正義だったし善だった。
それは確実に子供に夢を与