モッタイナイから

私の父は、ほぼハゲだった。
それでも月に一度は近所にある馴染みの床屋へ通っていたし、きちんと櫛目を入れた大切な薄い髪をヘアースプレーでかためていた。

私が中学生の頃だったと思うが、私の沢山ある髪を見て、急に悔しさが溢れたのか
「お前だってツルッハゲになるんだからな」と叫んだ。

理由は、ご先祖様がハゲだったことにあるようだ。
「父方も母方もハゲばかりだったからお前も今から覚悟しておけ」と云うことのようだ。

ところが予言は外れて50歳、60歳とハゲずに無事通過。
最近、てっぺんがそれなりに薄くなってきたが、若い頃から「覚悟しておけ」