報告 2023年03月03日(金)12:03 会員以外にも公開 【冬の長門峡】 中原中也の詩 欄 干料 亭密 柑 「冬の長門峡(ちょうもんきょう)」長門峡に、水は流れてありにけり。寒い寒い日なりき。われは料亭にありぬ。酒酌くみてありぬ。われのほか別に、客とてもなかりけり。水は、恰あたかも魂あるものの如ごとく、流れ流れてありにけり。やがても密柑みかんの如き夕陽、欄干らんかんにこぼれたり。ああ! ――そのような時もありき、寒い寒い 日なりき。 『在りし日の歌』より 長門峡(ちょうもんきょう) 山口市阿東から萩市川上にまたがる阿武川沿いの峡谷。 中也