二階より若葉眺めて微睡んで



 観音の十指にかよふ夏の風  本多俊子

 ビル掃除のゴンドラのオレ初夏の風  山口久子

 一雨に晩夏の風の生まれたる 大橋晄

 ビル淡く若葉濃く副都心かな 稲畑廣太郎
 
にはか雨若葉雨へと粧へり   稲畑廣太郎

 風強き朝の若葉の触るる音  稲畑汀子

 総門を磨き上げたる若葉風  稲畑廣太郎

 若葉して青葉して味噌汁二杯 陽山道子

 若葉風木々のてつぺん過ぎゆけり 松本文一郎

 岳麓の若葉の風ヘバスを降り   川口利夫

 パンダナの少年艶めく若葉雨 鎌倉喜久恵

 峠路の残