海老茶の牡丹咲く母の里庭に



 金雀枝や賑はふフリーマーケット 田中藤穂

 金雀枝や遺跡に残る貝の石  中里カヨ

 幼き日坂の途中にエニシダが  アロマ

 金雀枝の形と明るい黄色好き  アロマ

 えにしだやまだ灯の要らぬ夕炊ぎ 岡本眸

 金雀枝の黄を洗ひゐる朝の雨 二本松輝久

 万葉の海に揺蕩ふ藻刈舟 今村千年

 刈り残る藻のあをあをと漂へり  笹村政子

 長柄鎌で藻を刈つてゐる夕べかな 眞田忠雄

 しづけさや手に新繭のうすみどり 柳沢杏

 草木染其処に若草色の繭  宇田喜美栄

 繭ほぐす生糸のやうな蓮の風