『姉の影』

久し振りに、姉に会いに来た。
姉は、いつものように、優しい笑顔で俺を迎えてくれた。
6歳上の姉は、俺の中で、今でも前髪垂らした小学生の面影そのまま。

『姉さん、カルピス好きだったよね。』
近くのコンビニで買ってきたカルピスウオーターを姉のグラスに注いだ。
『姉さん、しっかり者だから、いつもカルピスを計ったようにきっちり等分に割ってたよね。』
当時、カルピスは高級品で、瓶入りのものを5~6倍の水で薄めて飲んでいた。
『俺はいつも、味が薄いからもっと濃くして・・って言ってたよね。』
『でも、姉さん、絶体濃くしてくれなかった。』
『今思う