連載:

「陽のあたる場所」

娘の住む街が、私の住む街より近く感じられるようになった。

田圃や畑など全く見えず隙間なく家が建て込み、土も見えない。それだけに家の前に鉢植えを置いてある家が目立った。花だけでなく、ナスやミニトマトもあった。

娘宅から駅までの間にプランターで見事に花を咲かせている一画があった。家が立ち並び一部分しか日が当たらない家が多いが、そこだけ日の光が集まり、それはそれは見事に咲く花ばかりだった。

私は大抵立ち止まった。孫と歩いている時は尚更だ。
「綺麗だね」
「キレイ」
5歳のお兄ちゃんは鼻を近付け匂いをかぎ、2歳の孫はそっと指で触れようとす