夏の一日。

 暑い夏のお昼頃、窓の外から長い長いサイレンが聞こえてきた、ああそうだ、今日は終戦記念日だ、ちょうど78年前のこの時間「玉音放送」が流され、多くの日本人が色々な涙を流したんだと思う。
 生きていることの喜び、亡くなった人への悲しみ、爆撃から逃げまどわなくてもいい喜び、戦いに負けた事への悲しみ、そして新しく始まる時代への不安、いろいろな物を抱えてこの時を迎えた事と思う。

 まだこの世に居なかった私は、ただ思うだけだが、この時のことを語る人はそう多くはいなかった、辛い出来事は思い出したくなかったのか、毎日を生きることで精いっぱいだったのか、物心ついた